2025年05月18日

世界のコンクリート住宅

みなさんこんにちは。

 

住宅の素材と工法は、その土地の自然環境、

文化、そして人々の生活様式を映し出します。

日本では「戸建て=木造」というイメージが強いかもしれませんが、

世界を見渡すと、戸建て住宅においてもコンクリート造が主流と

なっている国や地域が数多く存在します。集合住宅だけでなく、

なぜ個人の住まいである戸建てにコンクリートが選ばれるのか、

その背景にある理由を探りながら、コンクリート戸建てが多い国々をご紹介します。

 

地中海沿岸諸国:灼熱の太陽と伝統が生んだ知恵

スペイン、イタリア、ギリシャといった地中海沿岸の国々では、

古くから石造りの家が多く見られました。

夏は長く日差しが強く、冬は比較的温暖ながらも寒暖差があるという気候の中で、

厚い石壁は日中の熱気を遮断し、夜間の冷気を防ぐ効果がありました。

コンクリートは、この石造りの伝統を受け継ぐ建材として自然に受け入れられました。

厚いコンクリートの壁は、日中の強い日差しによる温度上昇を抑え、

屋内の温度を比較的安定に保つ効果があります。

これにより、エアコンへの依存を減らし、

エネルギー消費を抑えることにも繋がります。

また、海の近くでは塩害への対策が重要になりますが、

コンクリートは木材に比べて塩害に強いという利点があります。

デザインの面でも、コンクリートは多様な仕上げが可能であり、

伝統的な塗り壁の風合いを出すことも、

モダンなデザインを実現することもできます。

バケーションホームとしての需要が高いこれらの地域では、

耐久性が高くメンテナンスが比較的容易なコンクリートが選ばれることも多い理由の一つです。

 

メキシコ:地震への備えと手の届く素材

地震が多い国の一つであるメキシコでも、

コンクリートの戸建て住宅は広く普及しています。

阪神・淡路大震災と同様に大きな被害をもたらした

1985年のメキシコシティ地震以降、耐震基準が強化され、

コンクリートの耐震性の高さが改めて認識されました。

また、メキシコではセメントや砂利といったコンクリートの

材料が比較的安価で入手しやすいという経済的な側面も、

コンクリート戸建ての普及を後押ししています。

レンガやコンクリートブロックを積み上げ、

鉄筋コンクリートで補強するという工法は、

比較的小規模な建設会社や個人でも行いやすく、

DIYで家を建てる文化にもなじんでいます。

さらに、年間を通して気温が高い地域では、

地中海沿岸と同様にコンクリートの蓄熱・断熱効果が快適な

室内環境の維持に役立っています。

 

ブラジル:暑さ対策と普遍的な建材

広大な国土を持つブラジルでは地域によって気候は大きく異なりますが、

多くの地域でコンクリートの戸建て住宅が一般的です。

特に気温の高い地域では、厚いコンクリート壁が日差しを遮り、

室内を涼しく保つのに役立ちます。

ブラジルのコンクリート戸建ては、

レンガやコンクリートブロックを積み上げ、

鉄筋コンクリートの柱や梁で構造を補強する

「組積造(Load-bearing masonry)」や、

鉄筋コンクリートラーメン構造にレンガやブロックで壁を

充填する工法が多く見られます。セメントが安価に入手できること、

そして熟練した木工職人が少ない地域でも

比較的容易に施工できることが普及の要因となっています。

経済成長に伴う建設ラッシュも、コンクリートの需要を高めました。

デザインは地域や個人の嗜好によって多様ですが、

コンクリートの打ち放しや、カラフルな塗装で仕上げられた住宅が多く見られます。

 

東南アジアの一部:自然災害への備えと経済発展

フィリピンやタイといった東南アジアの一部地域でも、

コンクリートの戸建て住宅が普及しています。

これらの国々は台風の通り道となることが多く、

強い風雨に耐えうる丈夫な構造が求められます。

コンクリートは、その耐風性・耐水性の高さから、

こうした自然災害への備えとして選ばれています。

また、年間を通して湿度が高く、

シロアリの被害も懸念される地域では、

湿気に強くシロアリの餌にならないコンクリートが適しています。

経済発展に伴う建築需要の増加と、

比較的安定した品質で供給できるコンクリート工法が普及を後押ししています。

ここでも、レンガやコンクリートブロックと

鉄筋コンクリートを組み合わせた工法が一般的です。

 

南アフリカ:気候と防犯性を考慮した選択

南アフリカの一部の地域でも、

コンクリートやコンクリートブロック造の戸建て住宅が多く見られます。

南アフリカは多様な気候を持ちますが、

コンクリートは暑さ・寒さ双方に対応できるポテンシャルを持っています。

また、地域によっては防犯上の理由から、

外部からの侵入に強いコンクリートの壁が好まれる傾向があります。

比較的安価な建材として入手しやすい点も、普及の要因の一つです。

 

【なぜ戸建てでもコンクリートが選ばれるのか:戸建てならではの理由】

集合住宅に比べて自由度が高い戸建てにおいて、

なぜコンクリートが選ばれるのでしょうか。

そこには、集合住宅とは異なる戸建てならではの理由も存在します。

気候適応への積極的な選択: 夏の暑さ対策や冬の蓄熱など、

その地域の気候に合わせた快適性を追求するために、

コンクリートの熱特性を積極的に活用するケース。

 

自然災害への強い備え: 特に地震や台風が多い地域で、

家族の命を守るための最優先事項として、耐震性・耐風性の高いコンクリートを選ぶ。

 

長期的な視点でのコストとメンテナンス: 初期コストは木造より高くても、

耐久性が高く、外部仕上げによっては塗り替えなどの

メンテナンス頻度が少なくて済む点を評価する。

 

デザインの追求: コンクリート打ち放しのモダンなデザインや、

曲線などの自由な形状を実現したい場合にコンクリートを選択する。

 

防犯性: 集合住宅に比べて外部からの侵入リスクが高い戸建てにおいて、

物理的に破壊されにくいコンクリートが高い防犯性能を持つと見なされる場合。

 

まとめ

コンクリートの戸建て住宅が多い国は、地中海沿岸の気候と伝統、

メキシコの地震と経済性、ブラジルの暑さ対策、

東南アジアの自然災害への備えなど、それぞれ異なる理由があります。

しかし共通しているのは、コンクリートが持つ「強さ」や「気候適応力」が、

戸建てという個人の大切な資産を守り、

快適な暮らしを支える上で合理的な選択肢となっている点です。

それぞれの国の風土に根差したコンクリート戸建ては、

今後も多様な形で人々の生活を彩っていくことでしょう。

災害の多い日本でも、さらにコンクリート住宅が広がっていくことが

予想されています。

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今回もお読みいただき、ありがとうございました。

次回の更新もお楽しみに!